九月六日

2005年9月6日
夜、靴を買いに出かけた。

腹がすいていたので、近くのスーパーでサンドイッチを買い、外のベンチに座ってそれを食べた。夜の九時ごろになっていた。

それから、もうひとつのスーパーに入って、ハウスキーピング用品を買うことにした。

偶然、昔の仲間に会った。

彼女と一通りの話をしたあと、聞いてみた。彼女から何か便りがあったかどうかを聞いてみた。

意表を突かれた。国に帰ったそうだ。

理由は分らない。ビザの問題かもしれない。子供の教育を考えた結果かもしれない。

去年の十月、十一月ごろに帰国したそうだ。

この話を聞いて僕の心が軽くなったことを、事実として記しておきたい。

そしてその分だけ、僕が卑劣な人間になったことも、やはり事実として書きとめておく。

彼女が抱いていた希望が頓挫したことを聞いて、とても卑しくほくそえんだから。

ベンチに座りながらサンドイッチを食べながら、彼女から受けた仕打ちを思い出しつつ、「この先いつまで、彼女のことを思い続けなければいけないのだろうか」と考えていた。

疲れきっていた。
神様はいつになったら、この苦痛を僕から取り除いてくれるのだろうか。そんなことも考えていた。

あのときの自分には、もう二度と返ることはできないだろう。
でも終わったと思う。何かが終わったんだと思う。

そして、きっと僕は救われたんだと思う。

それまでは自ら命を絶つことにも、ある種の光明を見出していたから。

本当のことをいえば、僕はあの重荷に耐え切れなくなっていました。

おかしなことだけど、彼女が再びこの国にやってきたとしても、その彼女はまったくの別人としか思えないような気がする。

さようなら。もう本当にお別れですね。去年の十月のことだったと思うけど、あの通りすがりの車には、あなたが乗っていたのでしょ? 

最初はどういうことでしたっけ。一緒にお昼ご飯を食べるようになったことだったと思うんだけどな。

でもはっきりとしたきっかけは、あなたがボスと激しく対立したあと、二人で湖に行ったことですよ。
線路沿いを歩きながら、いろいろと話をしましたよね。

少し離れた都会までドライブして、岸辺の砂浜を歩いて(羽虫が多かった!)、ファミリーレストランで何時間も話をして、土砂降りの雨の中をまた車で帰ってきて。

そういや、あなたから抗議の仕方なんかも教わったなあ。

エレベーターの降りざまの、「強くなってね」という言葉。

ほんとのほんとのお別れとなると、あなたといて楽しかったことばかり思い出されてくるのが不思議です。この一年、ずっとあなたのひどい面ばかり、繰り返し想い帰してきたのに。

早く忘れたいとずっと思っていたのに、今こうなってみると、あなたとの思い出が失われていくのが怖いです。僕はあなたの写真も持っていませんから。

最後に交わした会話が「録音」うんぬんだったことが、なんだかマヌけです。もしかしたら、ほかに話したいことがあったのでしょうか。

さようなら。そして、ごめんなさい。あなたが苦しんでいるときに、僕はあなたを支えることができませんでした。

じゃあ、元気でね。JYさん。

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